【ビッグファイブ】性格と学習スタイル

近年、性格診断「ビッグファイブ」の結果から、個人の学習スタイルや成績が予測できるのではないかという仮説があります。

ビッグファイブは人の特性の強弱を分析するものなので、勉強への向き不向きが明らかにできる可能性は大いにあると考えられます。

実際、ビッグファイブの誠実性は学業成績と関係があるとされています。

私たちも日常的に性格と成績を結び付けて話をしていることがあります。

身近な例として、「真面目な学生は成績が良く、不真面目な学生は成績が悪い」ということは一般的に言われる性格と成績の関係です。

性格診断と学業成績との関係を解き明かすことはこれらを細かく分析することと同じだと言えます。

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4つの学習スタイル

学習スタイルには、4つの指標があるという研究論文があります。

4つの学習スタイルとは、統合分析、系統的学習、事実の保持、精緻な処理を指します。

“Development of a Self-Report inventory for assessing Individual Differences in Learning Processes”. Applied Psychological Measurement 1: 413–431. (1997).
doi:10.1177/014662167700100310.

  1. 統合分析
  2. 情報の処理、カテゴリの形成、階層的整理。唯一、学業成績への重要な影響を説明したもの
  3. 系統的学習
  4. 学業課題を成し遂げている間に行われる系統的な行動
  5. 事実の保持
  6. 学習対象の背後にある論理を理解するのではなく、顕現している結果に焦点を当てる
  7. 精緻な処理
  8. 新しいアイデアを既存の知識に結び付けて適用する

誠実性と協調性が高い人は学習能力が高い

ビッグファイブにおける誠実性と協調性は、4つの学習スタイルすべてに影響を与えます。

誠実性と協調性が高い人は、統合分析、系統的学習、事実の保持、精緻な処理の全てを使いこなすことができます。

逆に、誠実性と協調性が低い人は、学習そのものが苦手と言えます。

神経症的傾向の高い人は学習能力が低い

神経症的傾向の高い人は、学習能力が低い傾向にあります。

心の安定性が高い人は継続的に学習する力があると考えられます。

外向性と開放性の高い人は精緻な処理が得意

外向性と開放性は、新しいアイデアを既存の知識に結び付けて適用する能力である「精緻な処理」に長けています。

これは、オープンマインドで新しい知識や考え方に抵抗を感じない性格によるものです。

色々なアイデアが閃く人は、外向性と開放性が高い可能性があります。

“The Big Five personality traits, learning styles, and academic achievement.”. Personality and Individual Differences 51 (4): 472–7. (September 2011).
doi:10.1016/j.paid.2011.04.019.

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学習スタイルと成績

学校の成績が良い人は、統合分析が得意な人です。

ビッグファイブの5因子の中では、特に誠実性が高い人と考えられます。

誠実性は、努力や自制心などを含む性質なので、真面目にコツコツ取り組む姿勢と関係があります。

結局、成績はコツコツ努力して勉強することで向上するので、誠実性が高い人は学校の成績が良いというのは納得できます。

一方、勉強へのモチベーションのアップや維持には、開放性や外向性の高さが重要と考えられます。

新しいことに挑戦する好奇心は開放性によって決まります。

また、外的刺激を受け取りやすい外向性が高いこともモチベーションにつながります。

気を付けなければならないのは、モチベーションは成績に直結しないという点です。

あくまで、着実な努力(誠実性)が成績に良い影響を与えます。

まとめ

学業の成績に最も重要な学習スタイルは統合分析です。

統合分析は情報の処理、カテゴリの形成、階層的整理ができる能力を指します。

この統合分析の能力は、ビッグファイブの誠実性が高い人ほど高い傾向があります。

勉強は閃きや才能以上に、努力や着実性が需要であることがビッグファイブからうかがい知ることができます。

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